将棋の最年少プロ、藤井聡太七段(17)が木村一基王位(47)に挑戦する第61期王位戦7番勝負の第1局が1日、愛知県豊橋市の「ホテルアークリッシュ豊橋」で始まった。数々の記録を次々と打ち立ててきた藤井が、ついに2日制の7番勝負に初登場した。棋聖戦に続く2つ目のタイトル挑戦が始まった。昨年、最年長で初タイトルを奪取した木村は初防衛を狙う。

公式戦では両者は初顔合わせ。振り駒の結果、藤井の先手に決まった。午前9時、立会人の谷川浩司九段(58)が定刻になったことを告げると、お互いに深々と一礼し、対局を始めた。 藤井は白の着物に涼しげな水色の羽織の和装姿。和装デビューとなった棋聖戦第2局の濃紺の羽織からイメージチェンジして臨んだ。

藤井はいつものようにお茶を一口飲み、心を整えてから飛車先の歩を突いた。

木村は約2分、目を閉じ、飛車先の歩を突き返した。戦型は角換わりに決まった。

対局は持ち時間が各8時間の2日制。1日目は夕方に封じ手をする。2日目は2日午前9時に再開し、夜までに決着する見込み。

両対局者は6月30日、宿泊先の同ホテルで取材に応じた。藤井は「今回は挑戦者として、全力でぶつかっていくだけです」と話した。木村は「昨年と同じ挑戦者という立場でいきたい。1つ勝つだけで流れが違ってくる。まず1勝したい」と意気込みを語った。

史上最年長で初タイトルを手にし、「中年の星」と呼ばれる木村。棋聖戦でタイトル挑戦の最年少記録を30年ぶりに更新した藤井。年齢差は30歳。「史上最年長」と「史上最年少」の激闘が始まった。