将棋の最年少タイトル挑戦者、藤井聡太七段(17)が渡辺明棋聖(36)に挑戦する第91期棋聖戦5番勝負の第3局(東京・都市センターホテル)のパブリックビューイング(PV)が9日、藤井の地元・愛知県瀬戸市で開催された。ゆかりのある人やファンたちが「史上最年少タイトル獲得」と期待を膨らませた。

PV会場となった瀬戸市の観光拠点施設「瀬戸蔵」にある瀬戸蔵つばきホール(席数350)と多目的ホール(収容180人)の2カ所。新型コロナウイルス感染拡大を考慮し、先着順で定員は計140人。午前9時15分の開場時には約10人が列をつくった。

瀬戸市に住む将棋歴50年以上の無職男性(67)は「大一番、地元から声援を送りたかった」と話した。将棋ファンが熱戦の行方を見守った。

第2局を終え、現役最強と言われる渡辺に藤井が2連勝し、最年少タイトル獲得にあと1勝に迫っている。最も若いタイトル獲得は1990年、屋敷伸之九段(48)の18歳6カ月。第3局で藤井が勝てば、17歳11カ月の最年少記録を達成する。

地元の応援もヒートアップ。名鉄瀬戸線「尾張瀬戸駅」の近くのある複合ビル「パルティせと」でも応援会が行われた。同ビル1階「喫茶スマイル」は、この日限定の「七段カツ定食」を“サンキュー価格”の3900円で提供した。

藤井「七段」が「カツ」の祈願を込めている。「藤井棋聖」の誕生を願い、顔に駒の形をした「棋聖」のペイントをした店主の鈴木松子さん(53)は「渡辺棋聖に勝ちは“あげない”と、あえてロース7枚を焼いてます」と説明した。

瀬戸市にある「せと銀座通り商店街」でも応援会を行った。商店街の空き店舗にファンらが集まり、インターネット中継を見守った。願いは1つ。「東海地区に初タイトルを」。快挙達成に向け、「藤井棋聖」の文字が入ったお祝いの手作りのフラッグをつくった。応援に来た人がフラッグに描かれたくす玉に色を入れた。瀬戸が地元のスターの快挙を待ちわびた。【松浦隆司】