第163回芥川賞・直木賞の選考会が15日、東京・築地の新喜楽で開かれ、直木賞は馳星周さん(55)の「少年と犬」が受賞した。芥川賞は高山羽根子さん(45)の「首里の馬」(新潮3月号)と遠野遥さん(28)の「破局」(文芸夏季号)が受賞した。

芥川賞には2016年に死去した津島佑子さんの長女で、太宰治の孫の劇作家石原燃さん(48)の小説デビュー作「赤い砂を蹴る」もノミネートされていた。太宰は第1回の芥川賞を逃し、選考委員の川端康成を「大悪党」とののしり、佐藤春夫に「私に芥川賞をお与えください」と懇願する手紙を書いたことで知られる。母の津島さんも3度ノミネートされたが、受賞できなかった。“3代目の正直”がなるかと注目されていたが、届かなかった。

◆馳星周(はせ・せいしゅう)1965年(昭40)北海道生まれ。長野県在住。書評家などを経て96年「不夜城」でデビュー。吉川英治文学新人賞、日本冒険小説協会大賞を受賞する。98年「鎮魂歌-不夜城2-」で日本推理作家協会賞を受賞。99年「漂流街」で大藪春彦賞を受賞。主な作品に「ダーク・ムーン」「生誕祭」「トーキョー・バビロン」などがある。