芸能界きっての将棋好きでアマ初段の落語家、桂文枝(77)が、大河ドラマにひっかけ「まさしく『麒麟がくる』風雲児」と、藤井聡太棋聖を絶賛した。対面経験もあり、誠実な人柄にも魅了され、和装を正装とする落語家として、着物着こなしも絶賛した。

   ◇   ◇   ◇

渡辺(明)さんとの棋聖戦を制してタイトルもびっくりですが、どんどん強くなってきた。勝った後も淡々として、表情だけ見たら負け? と思うぐらいに(落ち着いて)。勝っておごらず-でね。

デビュー当初から、藤井七段に注目。大阪市福島区の会館へ来たこともある。

(17年に連勝記録を29で止められた佐々木勇気七段と6月に再戦し)こないだは圧勝ですからね。かなり強くなってる。これで、今度は王位戦も(タイトル奪取を)ね。僕らからすると、30歳差の木村一基王位をね「おじさん、もうちょっと大事にしてあげてもええんちゃうか」いうのもありますけどね(笑い)。

将棋もよく観戦し、木村王位の冗舌な解説が好きだそうだが、その木村王位を長考に追い込み、黙らせてしまう藤井七段のすごみには感服するばかりだ。

どれだけ強いねん、と。阪田三吉以来、いろんな名人、天才いましたけど、史上最強じゃないかな。天才という意味では、(故桂)枝雀師匠も天才やったと思うんですけども、ちょっとまた違う。彼は、ほんとに風雲児、まさしく「麒麟がくる」みたいな。時代が生んだんでしょうかね。あの若さで攻めて攻めて、攻めの気持ちを忘れんところなんかね。悠然と指しているように見えますけど、盤上は攻め合いですからね。

上方の爆笑王と呼ばれつつ早世した、自身を創作の道へ歩ませたライバルとも比べようがないという。

それで、あの将棋界いうんがね。新しい才能をみんなで守ってあげようというね。芽を出してきた若い人の実力を認めて、きちんと「さん」付けで呼ぶ。先輩を立て、後輩の面倒は見る。今の時代、我々日本人が思い出して、見習わないかんところですよ。

和装にも感心する。

着付けの先生が着付けたんでしょうけど、襟のあわせ、羽織のひも、はかま…所作も素晴らしかったと思いますね。あないに着こなしがうまい将棋指しは、若い人ではなかなかいない。その非の打ちどころがない最強棋士が、しいたけ(きのこ)は嫌いいうんもね、そこはまた、かわいい。

創作のネタには「雲の上の存在すぎて」できないと笑う。企画で対談した際にもらった7手攻めの詰め将棋を解き、いつか正解を聞く機会を待っている。

詰め将棋解くのに3日ぐらいかかりました。以前お会いした時に扇子と手ぬぐいを贈りましたが、今度は機会があれば、羽織る物でも贈りたいと思います。