藤井聡太棋聖が17歳最後の日となる18日、都内で行われた「将棋日本シリーズJTプロ公式戦」1回戦で、菅井竜也八段(28)を103手で下した。16日には、17歳11カ月の史上最年少で初タイトルとなる棋聖を獲得したばかり。タイトル保持者としての初対局を白星で飾った。対局後はサプライズとしてバースデーケーキを協賛のJTからプレゼントされ、笑顔を見せていた。2回戦(9月12日、都内)では豊島将之竜王・名人(30)と対戦する。

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藤井棋聖が一瞬、たじろいだ。思いも寄らぬ手を指されたからではない。将棋盤、駒、駒台をあしらい、「18」の文字が飾られた豪華な特注ケーキを会見場で見せられた時だ。「うれしく思います」。1日早い誕生日プレゼントに顔をほころばせた。

タイトル保持者としての初戦。スタジオ対局のため上座、下座の区別はないが、菅井より下の七段でも「棋聖」の藤井は序列上位。格上の振る舞いが求められる。「駒箱のフタを開ける時に少し緊張しました」と振り返った以外は、落ち着いていた。「王将」(下座は「玉将」)と書かれた駒を取って並べ始めた。

対局になれば、ふだん通り落ち着いて臨めた。お互いに9筋の端に王様を囲い合う相穴熊。先手の藤井はじっくりした出だしから一転、飛車を敵陣に打ち合った。89手目の先手7二歩が焦点に突き刺さると、一気に寄せ切った。タイトル獲得後の初戦での18歳の誕生日の前祝い。「いいスタートができた」と、喜びをかみしめた。

「子供大会」にも参加した思い出の公式戦。小2で簡単な見落としで負けて大泣きし、小3で優勝した。初出場の昨年(8月、福岡市)は公式戦で初めて和服姿を披露したが、1回戦で三浦弘行九段(46)に敗れている。小学生時代と同様に1年後に、成長を見せた。

タイトル保持者として迎える18歳。「17歳の1年間、いろいろな経験ができた。課題をしっかり見つめて、強くなれる1年にしたいです」。決意がみなぎっていた。【赤塚辰浩】