死を希望する筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性患者に致死薬を与えて死亡させたとして、京都府警は23日、嘱託殺人の疑いで、宮城県名取市、「おおくぼ呼吸器内科・メンタルクリニック」院長の大久保愉一容疑者(42)と東京都の医師山本直樹容疑者(43)を逮捕した。

捜査関係者によると、山本容疑者の口座には、女性から100万円以上の現金が振り込まれていた。女性が、会員制交流サイト(SNS)を通じて大久保容疑者に殺害を依頼した形跡があった。2人は女性の主治医ではなく、金銭目的で請け負った可能性がある。

2人は昨年11月、京都市内にある女性の自宅マンションで、女性の承諾を得て鎮静薬を投薬し、殺害した疑いが持たれている。事件当日、女性はヘルパーに「知り合いが来る」と伝え、2人を自宅に招き入れた。約5~10分後には2人が部屋を後にし、別室から戻ったヘルパーが意識不明の女性を発見。搬送先の病院で死亡した。

大久保容疑者の妻の大久保三代元衆院議員(43)は同日、自身のブログで夫の逮捕について語った。「詳細も全容も、一切知らされておりません。夫からも何も聞いておりません」と逮捕容疑について何も知らなかったとし「ご本人様、ご遺族には心よりお詫び申し上げます」と夫の行った容疑について謝罪した。

医師である夫がアルバイトで働いていたことについて「時間の切り売りをすることはずっと反対で、厳しく叱ってまいりました」として「私に隠れてアルバイトを繰り返し、結果このような事態になったことが、とにかく言葉がみつかりません」と無念さをつづった。

三代氏は今月12日投開票の名取市長選に出馬したが落選していた。