将棋の史上最年少タイトル獲得者、藤井聡太棋聖(18)が豊島将之竜王(30)への挑戦を目指す、第33期竜王戦決勝トーナメント、丸山忠久九段(49)戦が24日、東京・千駄ケ谷「将棋会館」で行われた。午前10時から始まった対局は、午後3時43分に同一局面が4回繰り返される千日手が成立。30分後の午後4時13分から先手後手を入れ替えて再開された指し直し局で、丸山に初戦で敗れ、挑戦権も失った。これで藤井が年度内に獲得の可能性があるタイトルは、現在7番勝負の挑戦者として連勝中の「王位」と、挑戦者決定リーグ戦が秋から開幕予定の「王将」に限られた。

時間がどんどん減っていった。千日手局では5時間の持ち時間のうち、3時間26分を消費していた。丸山は1時間1分しか使っていない。指し直し局は持ち時間を引き継ぐため、藤井の残り1時間34分に対し、丸山3時間59分で始まった。

それが午後6時の夕食休憩時、35分にまで減っていた。丸山は3時間26分残っている。この差はそっくり終盤に反映された。「竜王戦の決勝トーナメントでは結果が出せていない」と話していたが、今期は初戦で姿を消した。

藤井の過去の千日手指し直し局は4勝2敗。今年3月31日の棋聖戦決定トーナメント準々決勝、菅井竜也八段に勝って以来だが、あまりに時間が少なかった。「時間の配分が課題」とよく話していた。今回は、名人2期、棋王1期を獲得している羽生善治と同学年の実力者に、ペース配分のうまさを見せつけられた。【赤塚辰浩】