サッカー元日本代表MF中田英寿氏(43)が、東京国立近代美術館工芸館が石川県金沢市に移転、開館する国立工芸館の名誉館長に就任すると4日、東京国立近代美術館が発表した。国立工芸館は、日本で唯一の工芸を専門とする国立美術館として、工芸の歴史と文化が集積する金沢市から工芸の魅力を世界に発信していく施設で、10月24日に開館セレモニーが行われる、

中田氏はワールドカップ・ドイツ大会後の2006年(平18)7月3日に現役引退後、世界を旅する中で「僕は日本の文化を何も知らない」と痛感。09年から日本国内1600カ所以上を巡り、さまざまな日本の伝統文化を体験してきた。4月には立教大の客員教授に就任し「伝統産業とマーケティング」を担当している。東京国立近代美術館は、国内外に高い知名度と情報発信力を持ち、多くの工芸作家の工房等を訪問し交流を深め、日本の伝統文化や工芸の支援に精力的に取り組んできた同氏の活動を高く評価。10月25日から始まる展覧会で一般公開を開始するのに伴い、新たに設けた名誉館長職に選んだ。

中田氏は、自身が立ち上げた日本文化再発見メディア「にほんもの」サイトの企画で、金沢市に彫金家の中川衛氏を訪ねたことがある。国立工芸館の名誉館長として、唐澤昌宏館長とともに同館の発展に向けて事業運営への助言や各種ネットワーク作り、また多方面への情報発信の強化などを行う予定。具体的な活動は今後、検討していくという。