将棋の第91期ヒューリック杯棋聖戦を制して、史上最年少の17歳11カ月で初めてタイトルを獲得した藤井聡太棋聖(王位=18)の就位式が23日、都内のホテルで行われた。式が終わった後には、同所で記者会見が行われた。本来、お祝いの場である就位式の後に記者会見という流れは、前例がない。3年前の12月に囲碁の名人就位式を行った井山裕太名人(当時7冠)は、たまたま同日、国民栄誉賞の候補であることが報じられたため、急きょ式後に会見場所を設営したという例がある。

藤井棋聖の会見での一問一答は以下の通り

-今期の棋聖戦を振り返って

藤井 対局再開されて6月2日に挑戦者決定トーナメント準決勝、4日決定戦と、あっという間のことでした。すぐには(史上最年少でタイトル戦挑戦者になったという)実感はわかなかった。渡辺先生(渡辺明棋聖=当時)に5番勝負で教わることを楽しみにしていました。

-コロナ禍で日程が変わって大変だったのでは?

藤井 対局がなかった分、準決勝に向けてしっかりコンディションを整えられました。

-5番勝負の初戦に勝って心境に変化は?

藤井 挑戦者に決まってまもなく第1局だった。いい状態で臨めて、結果として自信になりました。

-第4局で初のタイトル獲得となりました

藤井 苦しい時間の長い将棋で、何とか勝つことができて結果を出せてうれしかった。自分にとってとても成長できたシリーズでした。

-就位式を迎えての感想は

藤井 うれしく思います。獲得を実感するとともに、今後一層精進しなければと思います。

-その後、王位も獲得して2冠となりました。気持ちの変化は?

藤井 タイトル保持者にはなりましたが、対局では全力を尽くしたいと思います。将棋界を代表する立場として、盤上でもそれ以外の面でも成長していけたら。

-謝辞を述べたり、揮毫(きごう)する機会も増えました

藤井 (謝辞は)今まで以上に緊張がありました。揮毫(きごう)は(笑いながら)これから学ばなければいけないと思っているところです。

-就位式で着た紋付について

藤井 特別な感慨があります。

-スポーツ雑誌が特集するなど、注目されていますが

藤井 勝負事として、盤上とか協議に対する姿勢、将棋に真摯(しんし)に取り組む姿勢が大事だと思います。

-大師匠(故板谷進九段=師匠の杉本昌隆八段の師匠)のお墓参りには行かれました?

藤井 (師匠と一緒に)タイトル獲得の報告ができたのはとても良かったです。

-最近、横歩取りの将棋が多いのですが

藤井 横歩取りはいろいろな展開が考えられ、ほかの戦型にはない読みや形勢判断が問われてくるという印象があります。

-師匠の杉本さんは「デビューから29連勝が映画の予告編なら、棋聖獲得は本編の始まり」とおっしゃっていました。どんな作品を目指しますか

藤井 将棋は指すたびに新しい発見があります。経験を通して強くなって成長して、さらにいい将棋を指したい。

-具体的な目標は?

強くなるために努力していくことが大事です。

-最近、注目を感じることは?

藤井 直接はありませんが、多くの方に応援していただいていることは励みになりますし、見ていただいている方に楽しんでもらえる将棋を指したいです。

-前日に王将リーグで羽生善治九段に負けての就位式でしたが

藤井 ちゃんと寝ることができて良かったです。

-王将リーグの次戦は5戦5敗の豊島将之竜王です

藤井 序盤から中盤はしっかりしていて、終盤も鋭い。スキのない将棋を指される方です。実力とコンディションを高めて臨むことが大事だと思います。