将棋の高校生プロ、藤井聡太2冠(王位・棋聖=18)が5日、大阪市の関西将棋会館で指された第70期王将戦の挑戦者決定リーグ2回戦で豊島将之竜王(叡王=30)に大逆転負けした。これでリーグ通算成績は0勝2敗となり、渡辺明王将(名人・棋王=36)への挑戦権獲得、年度内の3冠獲得に黄信号がともった。豊島はリーグ2連勝。藤井は豊島には17年8月の初対局から公式戦6戦全敗。プロデビュー後、公式戦では初の3連敗となった。

終局後、藤井は「実力が足りない」と悔しさをかみしめた。戦型は相掛かり。過去5戦は豊島がスキのない指し回しで、序盤、中盤にリードを奪い、そのまま押し切る形だった。この日は一転、藤井が中盤にわずかにリードを奪い、終盤へ。持ち時間(各4時間)をお互いに使い切り、1手1分未満での指し手が要求される「1分将棋」。人工知能(AI)の評価値は二転三転し、豊島が「寄せられても仕方なかった」と負けを意識したほどの大激戦だった。

7人総当たりで行われる今期のリーグは全員がタイトル獲得経験者。過去の挑戦権獲得は5勝1敗が多い。高校生プロは「厳しいスコアになったが、最後まで頑張りたい」と気持ちを切り替えた。【松浦隆司】