豊島将之竜王(叡王=30)が初防衛に向けて好スタートを切った。将棋の第33期竜王戦7番勝負第1局が10日、東京都渋谷区「セルリアンタワー能楽堂」で行われた。

9日からの2日制で始まった対局は、振り駒で後手となった豊島が初日から駒がぶつかる激戦の末、52手という竜王戦史上最短手数で快勝。タイトル獲得通算100期を目指す挑戦者の羽生善治九段(50)を相手に、「読みの深さ」「構想力」が求められる局面を制した。

豊島は盤を見つめながら、「激しい戦いになって難しい将棋だった」と振り返った。初日の封じ手あたりでも自信がなかった。この日の昼食休憩あたりで調子がいいような気はしていた。結果的には21年前の第12期竜王戦(鈴木大介六段対藤井猛竜王)第1局の66手を上回る短手数。「20手くらいで終盤になっており、結構考えなければいけなかった。次からは先手後手が決まってくるので、しっかり準備して臨みたい」と、気を引き締めた。

一方、敗れた羽生は「駒がぶつかり合った後にいくつか分岐があったと思うが、そのあたりの選択に問題があった」と反省する。短手数については、「最初から決戦だったので、そういう決着の仕方もあるかなと思います。また気持ちを新たに次から頑張っていきたい」と話した。

第2局は10月22、23日、名古屋市「亀岳林 万松寺」で開催される。【赤塚辰浩】