埼玉県の東武東上線の線路脇で3日間にわたり、動けなくなっていた野生のシカの捕獲作業が16日未明、行われた。

東武東上線担当者によると、13日午前0時17分、森林公園駅から約400メートル地点を通過中の電車の運転士が異常音を感知。電車を一時停車して確認したところ、線路脇に電車と接触したとみられるシカを発見した。埼玉県滑川町に相談した結果、3日後の16日午前1時20分ごろ、シカの捕獲作業が行われた。

県担当者によると、獣医師が診断したところ、シカは前脚を骨折したほか、骨盤を損傷したとみられ、後ろ脚がまひして、ほぼ動けない状態だったという。回復の見込みがなく、野生に戻ることが難しいと判断し、その場で安楽死の措置が取られた。シカは町が引き取り、適切な場所に埋められたという。シカは体長約1メートルで、野生の若いメスのニホンジカとみられる。

県担当者によると、電車とシカが接触した現場周囲は住宅街の一角。森林公園駅の先には野山が広がっているものの、現場付近はシカが一般的にいるような場所ではないという。

東武東上線担当者によると、接触現場周辺でシカとの接触事故は近年なかったという。シカを接触から3日後に捕獲した理由について「どのように対応したらよいか、行政側と調整していた」と説明した。【近藤由美子】