昨年7月の参院選広島選挙区を巡る買収事件で、公選法違反の罪に問われている参院議員の河井案里被告(47)の公判が22日、東京地裁で行われ、共謀したとされる夫で元法相の衆院議員、河井克行被告(57)が検察側の証人として出廷した。

克行被告が今回の事件で証人尋問を受けたのは初めて。検察側の尋問が行われ、克行被告はほとんどの証言を拒否した。

検察側の尋問2問目で「(選挙区は)広島3区ですか」と問われた際、いきなり「裁判長!」と切り出した。「いろいろとご迷惑をかけていますが、弁護人を選任し、裁判所に提出したばかりで、今は追加の弁護人選任の準備を進めている。弁護士の皆さんと協議や相談ができていない状態」と現状を説明。「私自身、訴追、起訴された刑事被告人の立場に置かれた状況なので、必要なことは今後の裁判で申し上げていきたい」と強調した。

その後のほとんどの質問も「必要なことは私自身の裁判でご説明したい」と繰り返し、証言を拒否し続けた。

案里被告が克行被告と共謀し、現金計170万円を渡したとされるのは広島県議ら5人。克行被告は検察側から県議らの名前を1人1人挙げられ、案里被告が現金を渡したことを知っていたか聞かれると「妻が誰にお金を差し上げたか知りません」「聞かされたこともない」と次々に否定。最後に、案里被告が広島県江田島市議に現金を渡したことを知っていたか聞かれた際だけ、「裁判長! 証言を差し控えさせていただきます」と証言を拒否した。

克行被告は案里被告の公判に証人として23、28日も出廷する予定だ。

起訴状によると、克行被告は昨年3~8月、参院選で案里被告を当選させる目的で、広島県内の政治家や後援会員ら100人に計2901万円を渡し、うち県議ら5人には案里被告と共謀し、計170万円を渡した疑いが持たれている。

克行被告は9月15日に弁護人6人全員を解任し、先日、あらたに弁護人を選任したばかり。刑事訴訟法の規定で弁護人なしでは公判を開けず、地裁は夫妻の公判を分離し、案里議員の審理だけが続いている。