国内で11日、1547人の新型コロナウイルス新規感染者が確認され、過去最多に迫った。1500人超えは8月以来。大阪など1日当たりの感染確認が過去最多となる府県が相次ぎ、東京も約3カ月ぶりに300人を超えた。日本医師会の中川俊男会長は「第3波と考えても良いのではないか」と言及。冬の低温や乾燥は感染拡大の要因とされる中、識者は「慣れ」の怖さを指摘した。国内累計感染者はクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客乗員を含めて11万2767人。死者は1876人。

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寒さの強まりとともに、じわじわと感染が拡大してきた。この日確認された新規感染者1547人は、過去最多1596人(8月7日)に迫るものだ。

256人の感染が確認され、過去最多(255人)を上回った大阪府では、1日前倒しで対策本部会議を実施。2日連続で200人を超えており、会議冒頭、吉村洋文知事は「大阪で確実に増加する傾向にある。全国の状況も考えたらコロナの第3波が生じている」と強い危機感を示した。

大阪では若い世代や「夜の街」など特定の場所ではなく、広い世代、エリアに散発的に広がっていると報告された。第2波とは異なる感染経緯、経過だ。吉村氏は「静かに飲食」「マスクの徹底」を府民に要請、多人数での飲み会自粛や時短営業の要請は見送ったが、感染者の増加が止まらなければ時短や休業の要請をする可能性もあるとした。

東京都の新規感染は317人。20、30代で約4割、重症者は前日から5人増の38人。小池百合子知事は「全世代に感染者が及んでいる。無症状者が100人以上で、東京では過去最高だ」と説明したが、家族間など小規模感染が積み重なる増加傾向は大阪と同様だ。 第3波の懸念が広がる北海道は過去2番目の197人で、7日連続で100人超え。岩手、兵庫、埼玉、茨城、新潟各県で1日当たりの過去最多を更新した。

日本医師会の中川会長は「北海道が先行し、だんだん全国で感染者数が増えている。医療提供体制が全国で逼迫(ひっぱく)するのは明らかだ」と、訴えた。このまま増加した場合、北海道のGo Toキャンペーンからの除外検討にも言及した。コロナ対策を厚労省に助言する専門家組織も、11月以降、感染者の増加傾向が強まっていると分析。座長の脇田隆字・国立感染症研究所長は「人が動く状況になれば感染拡大を押し上げる。Go Toキャンペーンだけでなく経済活動全般が要因」と述べた。

全国的に気温の下がる冬は乾燥に加えて換気もしにくく、「密」を招きやすい。感染拡大につながる環境になりかねない。小池知事は、換気や窓開けなどの行為を「冬の新しい日常」として意識するよう求めた。国民1人1人のさらなる意識強化が求められている。