安倍晋三前首の後援会が主催した「桜を見る会」前日の夕食会を巡り、安倍氏側は昨年までの5年間、計約800万円を負担、多い年で約250万円を補てんした可能性があることが24日、関係者への取材で分かった。野党は25日に集中審議がある衆参両院の予算委員会に安倍氏を招致するよう要求。当時官房長官だった菅義偉首相にも追及を強める構えだ。

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関係者によると、安倍氏は夕食会の問題発覚後の昨年末、事務所に確認した際、秘書が「会費以外の支出はない」と回答。この秘書は政治資金収支報告書に記載していなかったため、事実と異なる説明をしたという。一連の経緯は23日に安倍氏に伝えた。

安倍氏は24日、国会内で記者団の質問に応じ「事務所としては全面的に協力をしていく。それ以上のことについては今の段階ではお答えすることは控えさせていただきたい」と語った。

夕食会は、安倍氏の公設第1秘書が代表の「安倍晋三後援会」が主催、2013~19年に東京都内のホテルで開かれた。会費は1人5000円で、19年には地元・山口の支援者ら約800人が参加した。関係者によると、19年までの5年間で会場となった2つのホテル側への支払総額は2000万円を超えたが会費だけでは足りず差額分の計約800万円を安倍氏側が負担した疑いがある。多い年には約250万円を補填した可能性もある。ホテル側は内訳が確認できる領収書を作成していた。

安倍氏はこれまで、夕食会を含めた全費用は参加者の自己負担で、安倍事務所や後援会としての収入、支出はなかったと強調してきた。野党は「後援会の収入、支出は一切ない」とする安倍氏のこれまでの国会答弁と矛盾するとして、25日に集中審議がある衆参両院の予算委員会に本人を招致するよう要求。自民党は事実上拒否したが、安倍氏の国会答弁との整合性を追及、さらに当時官房長官だった菅義偉首相にも説明を求める構えだ。

立憲民主党の蓮舫代表代行(52)は24日の定例会見で、安倍氏のこれまでの答弁について「あまりにも虚偽答弁である」と指摘。菅首相にも説明責任があるとし、当時の答弁を記した議事録を精査していると明かし「公文書の管理のあり方について前向きな姿勢がございませんでした。責任は大きい」と語気を強めた。