電力取引を行う日本卸電力取引所(JEPX)の指標価格高騰にともない、小売り電気事業者が扱う「市場連動型プラン」の電気料金が、数倍に値上がりする可能性が出てきた。電力自由化以降、大手電力会社に対抗すべく、小売り事業者がJEPX指標価格によって料金を変動させ、安く提供してきた。直前6カ月の平均で算出するため、一時的高騰なら大きな影響はなかったが、今回は1キロワット当たり5から10円程度の価格が1月以降に急騰。13日には200円に迫っている。

さまざまな悪循環が要因だ。昨年12月中旬以降の全国的な厳しい寒さによる暖房需要の急増。コロナ禍の影響などから、消費期限がある火力発電燃料の液化天然ガス(LNG)輸入を削減しており、供給が追い付かなかった。政府も輸入を急いだが、コロナ禍での海上輸送路制限や産出国機械トラブルなども直撃した。

契約者がリスクを含んだサービス提供と了承した上で契約をしている各社だが、対応の検討を開始。解約手数料免除を期間限定で応じたり、料金値引きを決めた社もある。国内の電力契約者全体の約2%程度と、対象者は一部だが、通常価格に戻る明確な見通しは立っていない。コロナや大寒波の影響は、電気代高騰にまで派生してきた。【鎌田直秀】