退任する米国のトランプ大統領(74)は20日午前8時すぎ(日本時間同日午後10時すぎ)、首都ワシントン近郊のアンドリュース空軍基地で、勝手に設定した「退任セレモニー」に臨み、大統領として最後の演説を行った。

米CNNによると、トランプ氏は新しく大統領に就任するジョー・バイデン氏(78)の名前には一切触れず、「新政権に幸運と成功を祈る」と語っただけだった。

「彼らは大きな成功をするだろう。それは『土台』を持っているからだ」と述べ、自身の実績のおかげだと言わんばかりの発言も。実際のところ、スピーチは実績の自画自賛がほとんどだった。新型コロナウイルスの2種類のワクチン製造に触れた際には「私たちがやったことは、医学的な奇跡だ。何年もかかることをたった9カ月で成し遂げた」と強調。減税や株価上昇のほか、宇宙軍創設について「これだけでも大きな業績だ」と胸を張った。

今月に6日に起きた米連邦議会議事堂で起きたトランプ支持者による襲撃事件には、一切触れなかった。 CNNによると、会場に集まったのは約200人の支持者やトランプファミリーら。大音量の音楽が流れ、まるで選挙集会のような雰囲気で、支持者は「We love you(私たちはあなたが好きだ)」コールを連呼。トランプ氏も「私もあなた方が大好きだ」と応じた。トランプ氏は最初から最後まで、マスクはしなかった。

トランプ氏は演説後、メラニア夫人や家族らと、大統領専用機エアフォースワンに「大統領」として乗り込み、退任後に過ごすフロリダ州に向かった。バイデン氏の就任式出席は拒否。旧大統領が新大統領の就任式に出席しないのは、約152年ぶり。米CNNテレビは「負け惜しみの壮行式だ」と、痛烈に皮肉った。