「ザ・キャット・イン・ザ・ハット」などで知られ、世代を超えて親しまれてきた米国で最も著名な絵本作家ドクター・ス-スさんの著書のうち6作が、人種差別的な描写を理由に出版が中止されることになった。

出版元のドクター・ス-ス・エンタープライズが、1904年生まれのス-スさんの誕生日である2日に発表した。米国では2日はス-スさんの生誕を祝って小さな子供たちに本を読もうと促す「読書の日」に制定されている。

ス-スさんの著書をめぐっては以前から黒人やアラブ人、アジア人など非白人の登場人物の描写が差別的だと問題視されており、同社は教育関係者と協議した結果、1937年から76年に出版された「マルベリーどおりのふしぎできごと」「おばけたまごのいりたまご」などの6作で間違った人物描写があるという結論に至ったという。

CNNによると、「The Cat's Quizzer」には黄色い顔で富士山の上に立つ日本人が描かれているほか、「If I Ran the Zoo」でも白人男性がアジア人の頭の上に乗って銃を手にする場面などもあるという。

作品は世界各国の言語に翻訳もされ、世界で6億5000万部以上を売り上げており、「いじわるグリンチのクリスマス」は「グリンチ」としてハリウッドで映画化もされている。

ス-スさんは1984年にピュリツァー賞特別賞を受賞している。一方、2017年に前ファーストレディーのメラニア・トランプさんが学校に著書10冊を寄贈した際には、「人種差別的プロパガンダや風刺、有害なステレオタイプがあふれている」と指摘され、学校司書から批判されたこともあった。(ロサンゼルス=千歳香奈子)