行政のデジタル化促進に向け今年9月に「デジタル庁」を創設することなどが柱の「デジタル改革関連法案」が9日、衆議院本会議で審議入りした。

行政の手続きでの全面的な押印廃止や、マイナンバーと預貯金口座のひも付けの促進に向けた法案などが一括して審議された。菅首相は「役所に行かなくてもあらゆる手続きができる。地方にいても都会と同じような生活ができるようになる」とした上で「デジタル庁が司令塔となり、誰もがデジタル化の恩恵を最大限受けられることができるよう、世界に遜色のないデジタル社会を実現したい」と語った。

野党からは、個人情報の漏えいを防ぐセキュリティーの具体案の説明を求める声が上がった。平井卓也デジタル改革担当相は「デジタル庁にセキュリティーの専門チームを置く。万が一事案が発生した場合、迅速な原因究明や対応などを担える体制を構築する」と説明した。

新型コロナウイルス感染拡大を受け、政府が国民に一律10万円を支給する「特別定額給付金」のオンライン申請で、混乱やトラブルが全国各地の自治体で発生した。また、陽性者と接触した可能性を知らせるスマートフォン向け接触確認アプリ「COCOA(ココア)」に不具合が見られ、社会全体のデジタル化の遅れが浮き彫りとなった。政府・与党は法案の速やかな成立を目指している。