漫画家・諫山創さん原作の漫画「進撃の巨人」最終話が掲載された「別冊少年マガジン」(講談社)5月号が9日、発売された。全139話で完結。09年9月から連載され、約11年7カ月の歴史に幕が下りた。電子書籍を含む単行本の累計発行部数が全国で1億部以上。世界21カ国・地域で出版され、電子書籍は約180カ国・地域で配信される大ヒットとなった。最終巻となる34巻は6月9日に発売される。

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諫山さんは5月号の巻末で「11年半ありがとうございました!これからも別マガお楽しみください!」とコメントした。同誌編集部も誌上で読者に向けた感謝のメッセージを送っていた。

進撃の巨人は、閉鎖的な地で平和に暮らしていた少年エレンが、人を食べ世界を支配する巨人に挑むダークファンタジー。残酷なテーマだが、予想を裏切り続ける展開が読者を引きつけていた。毎月別冊マガジンが発売される度に、ネット上には感想や考察を披露し合うファンが多くいた。物語終盤になるにつれ、作中にちりばめられた伏線について、さまざまな議論が飛び交い、熱い盛り上がりを見せていた。

一方で、11年半の長期連載の中で、残虐なシーンや作り込まれた舞台設定についていけず、進撃の巨人から離れてしまった読者も一定数いる。20年9月に放送されたテレビ朝日系バラエティー「アメトーーク!進撃の巨人芸人」では、出演したアンガールズの田中卓志が途中で離脱してしまったことを明かすと、麒麟(きりん)川島明らが「今が一番面白い!」と力説し、離れた読者へ「今からでも遅くない!」と、その魅力を熱弁していた。

多くのファンを魅了する要因は、多岐にわたるメディアミックスがある。13年にテレビアニメ化されると、一気に人気が上がった。エレンは人気声優の梶裕貴が抜てきされ、戦闘シーンの描写にも迫力が出た。実写映画化もされ、昨年7月に亡くなった三浦春馬さん(享年30)が主演を務めていた。講談社によると、米ハリウッドでの実写映画化も進行しているという。

最終話は芸能人や著名人の間でも大きな反響を呼んだ。梶はツイッターで「アニメ『進撃の巨人』に心臓を捧げ、エレン・イェーガーを演じ抜きます。オレたちの戦いはこれからだ!!」と、名作の魂を伝承し続ける覚悟を示している。

【沢田直人】