聖火リレー最高齢109歳の賀川滋子さんが12日、居住する奈良・大和郡山市を“疾走”した。

孫の妻で看護師の渡辺奈津子さん(47)にゆっくりと押された車イスに腰掛けた。聖火のともったトーチを車イスに設置して、沿道に向かって両手を大きく振って約200メートルを完走した。聖火を引き継ぐトーチキスの際には車イスから力強く立ち上がり、左手を大きく広げてポーズも決めた。

賀川さんは幼少期のスペイン風邪の猛威にさらされた記憶があるという。医師として地域の産婦人科医療に従事し「私が関わったお産で亡くなった人は1人もいない。私が今も元気で長生きできるのは今まで助けてきたお母さんと子どものおかげ」と胸を張る。

若いころはコレラの治療に携わったこともあった。明治、大正、昭和、平成、令和と5つの時代を生き抜いて「若いころにいっぱい歩いたのが良かった。歩くのはええですよ」。来月には110歳になる。「まだまだ生きていますよ」とおちゃめな笑顔をみせた。

◆12日の聖火リレー 古都・奈良2日目で河合町から走り始めて、薬師寺や唐招提寺など歴史の舞台となった旧跡を巡りながら聖火ランナーが駆け抜けた。香芝市ではバラエティー番組の司会などでも活躍する落語家笑福亭鉄瓶(42)、奈良市では元女子ホッケー日本代表でアテネと北京五輪に出場した上田(旧姓森本)さかえ氏(44)、女性書道家の紫舟氏、東京五輪の公式映画でメガホンを握る映画監督河瀬直美氏(51)が聖火を引き継いだ。13、14日の大阪府では、公道での走行が禁止となり、吹田市の万博記念公園での周回コースを巡る。