東京五輪・パラリンピックに出場する日本選手に優先的に新型コロナウイルスのワクチンを接種させる案が、昨秋の段階で検討されていたことが15日、政府関係者への取材で分かった。日本代表への優先接種の検討について政府や大会組織委員会は先週、口をそろえて否定していた。

関係者によると、昨秋までに国際オリンピック委員会(IOC)と組織委が同案について協議。IOC側と日本側でワクチンの費用分担の話まで協議が進んでいた。当時はスケジュール通りワクチン接種が進んでいけば、日本代表選手に優先的に接種して問題もないと見込んでいた。関係者は「当時は日本選手への優先接種の議論が前提だった」と振り返った。

その後、日本国内のワクチン接種が順調に進まず、その議論が止まっていた。しかし、組織委関係者は「日本代表選手へのワクチン優先接種はやるはずだ。今、政府は否定しているが、国民に十分にワクチンが行き渡っていない状況で肯定できるはずがない。だが時がたち国民に行き渡る実感が広がれば、政府は選手へのワクチン優先接種はやると言うだろう」と語った。

理由として「世界のアスリートは納得しない。ホスト国の選手がクリーンじゃないというのも理解しづらい状況だ」と話した。ここに来て自民党の下村政調会長が14日、党内で優先接種の必要性を検討すると表明するなど表面化してきた。

IOCバッハ会長は昨年11月に来日した際、日本国民を安心させるため海外選手に対し、ワクチン接種をしてから来日するよう要請。費用はIOCが負担する考えを示していた。