将棋の最年少2冠、藤井聡太王位・棋聖(18)が豊島将之竜王(叡王=30)への挑戦権を目指す、第34竜王戦2組決勝の八代弥(やしろ・わたる)七段(27)戦が16日午前10時、東京・千駄ケ谷「将棋会館」で始まった。振り駒の結果、先手となった藤井は先手7六歩と角道を開けたのに対し、後手八代は後手8四歩と飛車先の歩を突いた。

藤井は先週9日、第6期叡王戦八段予選決勝で広瀬章人八段(34)を下し、本年度初戦を白星で飾った。昨年度からの連勝を「18」に伸ばしている。前年度最後の対局となった3月23日の竜王戦2組準決勝、松尾歩八段(41)戦では後世まで語り継がれるであろう先手4一銀のタダ捨てから勝利をつかみ、1組昇級と決勝トーナメント進出を決めた。

竜王戦ではデビュー1年目の17年度に最下級の6組を制すると、18年5組、19年4組、20年3組と、毎年1組ずつ上がった各クラスで優勝して昇級を重ねている。ここまで各組予選は、負け知らずの23連勝中でもある。

竜王戦最短の5年でストレート昇級例は、1~5期の佐藤康光九段、8~12期の鈴木大介九段、15~19期の橋本崇載八段(引退)、21~25期の佐藤天彦九段(段位はいずれも現在)の4人。ただし、6~2組まで連続優勝での昇級例はない。5人目となった藤井が今局で、すべて優勝してストレート昇級という、竜王戦史上初の記録に挑む。

対する八代は、今期2組準決勝で渡辺明名人(36)を破って決勝に進出してきた。2016年(平28)度の第1回朝日杯を制している。藤井には18年7月の新人王戦3回戦で敗れて以来の対戦となる。倒して2組を制したいところだ。

持ち時間は各5時間。昼食休憩と夕食休憩を挟んで、同日夜には決着の見込み。