米マイクロソフトの共同創設者で慈善活動家のビル・ゲイツ氏(65)と妻のメリンダさん(56)が3日、ツイッターで離婚を発表し、27年間の結婚生活に終止符を打つことを表明した。

夫妻は連名で「互いの関係について熟慮し、関係改善に努めたものの結婚生活を終わらせる結論に至りました。この27年、私たちは3人のすばらしい子供を育て、世界中で全ての人が健康で生産的な生活を送れるように財団を設立しました。私たちは今後もその使命に対する信念を共有し続け、活動を継続していきますが、人生の次の段階においては夫婦としては共に成長できるとは考えられなくなりました」と声明を出し、新たな人生を歩みだすに際し、家族のプライバシーへの配慮を求めている。

夫妻はメリンダさんがマイクロソフト社で働き始めた直後の1987年に出会い、7年後の94年元日にハワイで結婚。25歳の長女と21歳の長男、18歳の次女の3人の子宝にも恵まれた。86年にマイクロソフトが上場したことをうけ、ゲイツ氏は史上最年少で自力で保有資産10億ドル以上になった「セルフメイド・ビリオネア」となり、現在の保有資産は推定1300億ドルと言われている。2000年には夫妻の名前を冠にしたビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団を共同で創設し、途上国の人々に飢餓と貧困を克服する機会を与えることを目的とした農業開発などの国際開発プログラムや世界の保健医療改善などに取り組んでいる。

ゲイツ氏は財団での活動に専念するため、08年にマイクロソフト最高経営責任者(CEO)を退任。14年まで会長を務め、昨年3月には取締役も退いた。

私生活ではおしどり夫婦として知られ、19年にネットフリックスで配信されたドキュメンタリーシリーズ「天才の頭の中:ビル・ゲイツを解読する」の中で夫婦関係についても語っていた。2人が出会った当初はメリンダさんには付き合っている人がおり、ゲイツ氏も仕事に多忙でしばらくの間は真剣な交際には発展しなかったというが、1年後には2人とも恋に落ちていたという。

ゲイツ氏は番組の中で、もし事故で今日亡くなるとして、最後にやり残して後悔していることは何かと問われ、妻メリンダさんにもっと感謝の言葉を伝えることだと述べていた。一方のメリンダさんも19年に結婚25周年を迎えた際には、SNSに結婚式を振り返る動画を投稿し、「あの夜、私の心は満たされたと思っていたけど、この25年間でどれだけ心がいっぱいになるか教えてくれた」と結婚生活を振り返っており、この時点までは夫婦関係が良好だったことがうかがえる。

複数の情報筋によると財団の職員らは発表前に離婚について知らせを受けていたというが、大きなショックに包まれているという。米経済誌フォーブスによると財団の資産は498億ドルに上るといい、2人は離婚後も財団の慈善活動には共同で取り組むとしているが、今後はそれぞれが個別または共同で財団に寄付する額は離婚によって影響を受ける可能性があると伝えられている。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)