米マイクロソフトの共同創設者で慈善活動家のビル・ゲイツ氏(65)と妻のメリンダさん(56)が3日、27年間の結婚生活に終止符を打ち、離婚することを発表したことを受けて推定1300億ドル(約14兆3000億円)と言われる純資産の行方に注目が集まっている。

ゲイツ氏は先月発表された米経済誌フォーブスの21年度版世界長者番付で資産額1240億ドルで4位に名を連ねているが、94年の結婚時に財産分与に関する婚前契約を結んでいたかどうかは不明だと複数のメディアが伝えている。

ニューヨーク・ポスト紙は夫妻は婚前契約は結んでいないものの離婚に際して互いに離婚とその条件に同意している場合に有効となる共有財産の分割など同意事項を取り決める別離契約書は作成していたと伝えているが、現時点で財産分与の詳細は明らかになっていない。一方、離婚原因が不貞などではなく、「夫婦としては一緒に成長できなくなった」と説明していることから、財産分与でもめる可能性は少ないと見られている。

仮に財産分与に関する取り決めが行われていなかった場合は、夫妻が居住するワシントン州の法律に基づいて結婚後に築いた資産の半分を分与することになるため、メリンダさんは約650億ドルを受け取る可能性もある。

しかし、2年前にアマゾン創業者で世界一の富豪ジェフ・ベゾス氏が離婚した際には資産の25%にあたる当時の換算でおよそ350億ドル相当のアマゾン株4%をマッケンジー夫人に分与することで合意していることから、ゲイツ氏もベゾス氏にならって4分の1程度の財産分与になると見る向きもある。

また、ゲイツ氏はかつて3人の子供たちが相続できる遺産は1人につき1000万ドルだけだと明かしていたこともあり、ネット上では離婚は「税金対策?」との疑惑の声もあがっている。

一方、共同で00年に創設したビル・アンド・メリンダ財団については、「今後もその使命を共有する」としており、共に活動を続けていくことを表明している。夫妻は感染症対策など保健医療改善や貧困と飢餓問題など人道支援活動に今年1月時点で累計290億ドル以上を寄付しており、この1年間は新型コロナウイルス感染症の治療薬とワクチン開発に尽力すると共に公平な分配を支援する活動を行っている。しかし、今後は離婚によって財団への寄付額に影響が出る可能性も指摘されている。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)