東京、大阪、京都、兵庫の4都府県に発令されている緊急事態宣言は期限を延長する方向で最終調整に入った。

菅義偉首相は5日午後、西村康稔経済再生担当相ら関係閣僚と公邸で協議を行った。菅首相は午後5時すぎから報道陣に「緊急事態宣言、そして、まん延防止等重点措置の扱いについては専門家のご意見を伺った上で今週中に判断をしたい」と語った。専門家らによる諮問委員会を招集し、対策本部会議を経て、7日にも延長の最終判断が下される。延長期間は2週間や、5月いっぱいまでとする案が浮上している。

短期集中の緊急事態宣言の実効性は発令前から専門家が懸念を示していた。新型コロナ対策分科会の尾身茂会長らは、わずか17日間の早期解除に対して慎重論が多数派を占めたが、最終的に政府が押し切った。菅首相は3度目となる緊急事態宣言の発令を決めた4月23日に「ゴールデンウイークを中心に短期集中で結果を出す」と主張したが、専門家の予測通りとなった。

大阪府では感染拡大が深刻だ。4月29日の連休スタートから5日連続で新規感染者は1000人台。この日は668人で、1日あたり1000人を下回るのは3日連続だが、医療提供体制の逼迫(ひっぱく)が続いている。東京都では621人の新規感染が判明して、2日連続で700人を下回ったが、高止まりの状態だ。

菅首相は5日、「大きな狙いの1つである人流については、間違いなく減少している」と強調した。だが、今回の宣言前よりは減っているが、緊急事態宣言下の昨年5月連休と比較して、行楽地の人出は増加。感染者の増加については「効果が出始めている」と明確な回答を避けた。

異例の短期集中を強行した背景には17日から来日するIOCバッハ会長の存在がある。菅首相は4月23日の会見で「まったく関係ない」と否定したが、東京五輪・パラリンピック開催へ向け、緊急事態宣言下で協議は避けたかったが、短期勝負の緊急事態宣言は予想通り、延長戦となりそうだ。【大上悟】