藤井聡太2冠(王位・棋聖=18)が最上級のA級昇級へ好スタートを切った。

13日、東京・千駄ケ谷「将棋会館」で行われた第80期順位戦B級1組1回戦で、14日午前0時26分、109手で三浦弘行九段(47)を下した。守勢に立たされながら、終盤攻めをしのいで局面をひっくり返した。「一方的に苦しくなってしまった。思わしい手段がなかった。先手6五歩(97手目)、先手6四歩(101手目)で攻め合いの形になった。先手6三歩成(107手目)まで行って勝ちかなと思いました」。

これで順位戦は19年3月のC級1組10回戦、都成竜馬五段(段位は当時)戦以来22連勝とし、順位戦連勝記録で単独2位(トップは森内俊之九段が90~92年度にかけて記録した26連勝)に躍り出た。「記録は全く意識していなかった」という。今年3月の前期順位戦B級2組で中村太地七段を下し、21連勝で渡辺明名人、羽生善治九段、脇謙二九段の記録に肩を並べていた。

藤井はこれで順位戦通算40勝1敗。初めて在籍した17年度はC級2組10連勝で昇級したが、18年度はC級1組で唯一の黒星を近藤誠也七段に喫し、9勝1敗で昇級を阻まれた。19年度は同級10連勝で昇級、20年度もB級2組10連勝で連続昇級を果たした。

今期のB1は、前期A級から陥落した三浦と稲葉陽八段、藤井とともにC1から昇級した佐々木勇気七段(26)と横山泰明七段(40)、前期残留を決めた木村一基九段(47)郷田真隆九段(50)に近藤七段ら8人の計13人がひしめく。A級への昇級は2人、B2への降級は3人。

順位戦はA、B1、B2、C1、C2の5クラス制。1年1期でリーグ戦を行い、成績優秀者が各クラスの定員に応じて昇級する。逆パターンもある。最上級のA級は、成績最上位者が名人への挑戦権を獲得する。

「今後も厳しい相手が続く。気を引き締めて頑張らなければいけないと思います」。トップクラスに上がるための大事なリーグ戦が始まった。