自衛隊が運営する新型コロナウイルスワクチンの大規模接種センターのシステムが架空情報でも予約可能だった問題で、予約の可否を確認し記事化した朝日新聞出版が19日、防衛省から芹澤清官房長名の「貴社報道に対する申し入れ」が届いたとし、見解を発表した。「記事は重大な不正行為が行われる恐れがあることを指摘したもの」「事前に防衛省と委託先に見解を求めたが明確な回答はなかった」と説明。「予約は真偽を確かめるために必要不可欠な確認行為」「(予約は)確認後にキャンセル」「政府の施策を検証することは報道機関の使命であり、記事は極めて公益性の高いもの」などと主張した。

架空情報を使い予約の可否を確認した取材については、岸信夫防衛相が18日に朝日新聞出版と毎日新聞を名指しして「悪質な行為。極めて遺憾。厳重に抗議する」と述べ、防衛省が両社に抗議文を郵送した。

18日にコメントを出していた毎日新聞も、19日付朝刊であらためて「防衛省は欠陥を事前公表しておらず、事実であれば放置することで接種に影響が出る恐れもあり、公益性の高さから報道する必要があると判断」などと主張。「防衛省への取材を進めるとともに、記者が実際に入力して事実であることを確認した」などと説明し、予約はすぐに取り消したとした。