街中の公道をさっそうと走る電動キックボードの利用者が増えている。都心部では、新しい移動手段としてシェアリングサービスが展開されている。

記者も実際に試乗してみた。路面が小雨でぬれていることもあり、乗り出すまでに不安を感じていたが、すぐに乗りこなすことができた。坂道も快適に上ることができ、自転車ともひと味ちがう楽しい乗り物だと感じた。

利用したサービスは、株式会社「Luup(ループ)」の取り組み。乗車前には、専用のアプリに免許証を登録し、道交法に関する全12問の問題に正解する必要がある。初乗り10分110円で1分ごとに16・5円(税込み)と値段もお手ごろだ。渋谷駅近くの貸し出し拠点にいた30代の会社員男性は「週に2回ほどジムの行き帰りに使います」と、慣れた手つきで乗り出して行った。

本来、電動キックボードは「原動機付き自転車」に該当するが、同サービスは、実証実験中で国の特例措置により「小型特殊自動車」に位置付けられる。最高時速15キロで、ヘルメットの着用も任意だ。手軽に利用できる一方で、20代の男性は「もう少しスピードが出て欲しい」と話した。渋谷のタクシーの運転手は、公道で見る電動キックボードの利用者について「自転車より遅いので危ない」と指摘。5月には大阪で人身事故も起きており、運転には細心の注意が必要とされる。

市販の電動キックボードで公道を走るには、役所などにナンバープレートを交付する手続きが必要。ヘルメットの着用義務もある。神奈川県横浜市の「e-SCOOTER SHOP tAMO」は保安基準と照らし合わせて、1日1台ずつ制作しオークションで販売している。昨年6月から試作機などの制作を始めた。600ワットで最高時速40キロの商品が、約10万~14万円で売れるという。

シェアリングサービスと市販の商品では、適用されるルールと、性能が全く異なる。公道に混在する可能性もあり、実証実験による結果の安全対策にも注目が集まる。【沢田直人】

◆Luupの展開エリア 渋谷区を中心に新宿区、港区などで展開。貸し借り拠点「ポート」は5月25日時点で、300カ所以上で設置されている。利用者は、どこからでも乗れて好きな場所に返すことができる。乗車時に目的地のポートを選択。目的地に着いた後は、電動キックボードがポート内にはみ出さずに停車している様子を、撮影し送信する必要がある。