藤沢里菜女流立葵杯(22)への挑戦権を争う、囲碁の第8期会津中央病院・女流立葵杯準決勝2局が15日午前10時、福島県会津若松市「今昔亭」で一斉に始まった。

カードは、牛栄子三段(22)対仲邑菫二段(12)、加藤千笑二段(19)対上野愛咲美女流棋聖(19)。15日、対局会場の検分、会見を行ったときの和服(対局は別)とは違い、4人とも洋服姿で入室した。昨年はコロナ禍で会津対局が中止。東京・市ケ谷で行われたため、2年ぶりの開催となる。上野を除く3人は初の会津入りだ。

黒番(先手)となった牛は2017年(平29)の女流棋聖戦の挑戦者、翌年の扇興杯で準優勝した。立葵杯は予選からのスタートで、小林千寿六段、向井千瑛五段、青葉かおり五段、大澤奈留美五段を下してきた。1回戦では、女流棋聖を前期保持していた鈴木歩七段を撃破した。今回の4人では最年長だが、タイトルを狙える若手の実力者でもある。

対する白番の仲邑は12歳3カ月と史上最年少でのタイトル初挑戦を目指す。今年に入って25勝5敗と絶好調。予選で宮本千春初段、榊原史子六段、辰己茜三段、王景怡三段を下し、8人による挑決トーナメント入りした。1回戦では小西和子八段に勝っている。5つの女流棋戦のうち、女流本因坊戦はベスト8入り、扇興杯も16人による本戦トーナメント入りしている。

両者は対戦成績は仲邑の2勝1敗。直近では、今年5月の女流本因坊戦本戦2回戦で仲邑が白番1目半勝ちと、激闘を制している。今回も熱戦が期待される。

もう一方で黒番の加藤は、18年4月にプロになった。同年の女流棋聖戦では本戦ベスト4進出と、旋風を巻き起こした。今回は予選で水戸夕香里三段、出口万里子初段、吉田美香八段を倒すと、1回戦で下坂美織三段を下した。13年の岐阜市立梅林小6年時には、「第34回文部科学大臣杯少年少女囲碁大会」小学生の部で優勝している。井山裕太棋聖(97年)や山下敬吾九段(86年)らも優勝しているこの大会での女子の優勝は、94年の石井茜(現辰己茜三段=仲邑の母親の姉)、95年の万波佳奈四段、99年の向井千瑛五段以来となる。生まれつき手足の成長が遅く、骨も弱くなる「骨形成不全症」のため、車いすでの対局となる。

対する白番の上野はタイトルホルダーとして予選を免除、本戦からスタートした。初戦で奥田あや四段を制し、勝ち上がってきた。

持ち時間は各2時間。15日夕方には決着の見込み。準決勝の勝者同士が16日、同所で挑戦者決定戦を行う。挑戦権を獲得すれば、同所で藤沢との3番勝負第1局を18日、第2局を19日に行う。1勝1敗になれば、最終第3局(期日未定)は東京・市ケ谷に場所を移して打たれる。