大阪府の吉村洋文知事(46)は21日、府庁で取材に応じ、東京五輪のウガンダ代表選手団の1人が新型コロナウイルス陽性となったことについて、自身のツイッターでの発言を訂正したことについて説明した。海外から来日する選手団に陽性が判明した場合の濃厚接触者について「だれが判断するかのルールがない。最初は誤解しているところがあった」と謝罪した。

大阪府泉佐野市をホストタウンにするウガンダ選手団は19日に来日。9人のうち、成田空港でのPCR検査で1人が陽性と判明。20日朝、8人で事前合宿地となる同市の宿舎入りした。 吉村知事は20日、自身のツイッターに寄せられた「同便で入国した選手がなぜ濃厚接触者にならずに移動してきたのですか? 最初からこれでは先は不安しかありません」などとする不安の声に、「何故、濃厚接触者でないと判断したのか! という問い合わせが多いですが、そう判断したのは、成田空港の検疫です。水際での課題です。先行事例として今後の対応の検討材料にすべきです」と問題提起した。

20日深夜、自身のツイッターに「成田空港の検疫が、濃厚接触者の有無や範囲の判断はされていません。誤りがありましたので、訂正してお詫びします」とし、「保健所も、当該陽性者を管理していませんので、濃厚接触者の有無や範囲の判断をしていません。課題を国と共有しつつ、感染対策の徹底に努めます」と投稿した。

この日、自らの“誤解”について吉村知事は「何が問題かと言うとルールがないこと。検疫では入国前に陽性者をキャッチし、検疫として適切に対応する。周りの人が濃厚接触者がどうかは検疫の仕事ではないというのがいまの現状です」と説明した。

選手団を受け入れるホストタウンが「全責任」を持つのが決まりだというが「大阪府は泉佐野を応援する立場ですから、やります」と濃厚接触者を調べるとした。

「最初、僕も誤解しているところがあった。なんで、9人のうち1人の陽性が出ているのに、8人が普通に大阪に移動していいのか? 濃厚接触者ではないの? そう思った方もたくさんいらっしゃると思う」

今回の陽性者の濃厚接触者については「だれも判断しなかった」とし、その根拠として選手団を一般社会から隔離する「バブル方式」にあるとした。

それでもコロナ対策の最前線に立ってきた行政のトップとして「なぜ、成田で留め置いていないのかという1つの疑問が出る」と首をかしげた。

結論として分かったことは「濃厚接触者であるともないとも判断しないということです。僕もツイッターで誤解があったので、間違えてましたとお詫びと訂正をしました」。さらに「僕らの常識から言えば、濃厚接触者。濃厚接触者ではないかと言えば、ちょっと違うのではないかと思う」と疑問を呈した。

今回の「濃厚接触者ゼロ」について「イレギュラーな形ですが、陽性者は大阪府で管理はしていないが、検疫の理解が得られるのであれば、大阪府が中心になり、濃厚接触者の調査をしたい。日々のPCR検査に加えて、調査もしたい」と強調した。

ただ今回の大阪府の調査が「一般ルール化するかは別の話です」と特例だと強調した。今後、水際で各国から入国する選手団に陽性者が判明した場合、濃厚接触者をだれが調べるのか? 吉村知事の「訂正」には、選手の隔離と検査による「バブル方式」の問題点が含まれていた。【松浦隆司】