大阪府の吉村洋文知事(46)は23日、府庁で取材に応じ、東京五輪のウガンダ代表選手団の1人が新型コロナウイルス陽性と判定され、入国3日後にホストタウンとなる大阪府泉佐野保健所が残る8人の選手団を濃厚接触者と認定したことについて言及した。

今回のウガンダ選手団の成田での先行事例をベースに、行政のトップとして今後を想定した場合について吉村知事は「今後、関空に五輪の選手団が入ってきたとき、その中で陽性者が出た場合、われわれとしてはどんどん目的地に送り出すことになる。大阪府の保健所が調査することはなく、(空港の)検疫は濃厚接触者の調査はしないということなので、そういうことになる」。五輪の選手団を一般社会から隔離する「バブル方式」で陽性者が判明した場合、今後も起こり得る問題点を指摘した。

その上で、五輪選手団の水際対策について「果たして、これでいいのか。日本オリンピック委員会(JOC)で検討していただきたい」と強調した。「これが本当に正しいのかどうか。どっちがどうと言うよりも、水際で抑えるべきは抑えるべきではないのかなと思う」と述べた。

大阪府泉佐野市をホストタウンにするウガンダ選手団は19日に来日。9人のうち、成田空港でのPCR検査で1人が陽性と判明したが、濃厚接触者かどうかは判断されずに20日朝、8人で事前合宿地となる同市の宿舎入り。濃厚接触者にあたるかどうかの調査について、国側は滞在先の自治体が担うと説明。当初、検疫が調査すると“誤解”していた吉村知事は「何が問題かと言うとルールがないこと」と指摘。「なぜ、成田で留め置いていないのかという1つの疑問が出る」とした上で、「国がやらないなら府、泉佐野保健所がやる」と述べていた。

泉佐野保健所が残り9人を濃厚接触者として特定したと22日に発表。吉村知事は一連の混乱に「それぞれの行政の縦割りで、どっち責任があると言い合うのではなく、どうすれば抑えることができるのかの観点が必要」とあらためて提言した。【松浦隆司】