東京・池袋の都道で19年に乗用車が暴走し、松永真菜さん(当時31)と長女莉子ちゃん(同3)が死亡した事故で、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)罪で在宅起訴された、旧通産省工業技術院元院長・飯塚幸三被告(90)の論告求刑公判が15日、東京地裁で開かれた。東京地検は禁錮7年を求刑した。

被害者参加制度を使って裁判に参加した真菜さんの夫の松永拓也さん(34)と父の上原義教さんは、この日、心情の意見陳述を行い公判後、会見を開いた。松永さんは禁錮7年という求刑を聞いた時、真菜さんと莉子ちゃんに報告したかと聞かれると、まず「遺族としての主観として、過失運転致死傷罪の中で最大限の刑罰を与えて欲しい」と語った。

その上で「一方で、それを切り離して私の人間としての心情面では、2人には報告は特にしなかったですし(家に)帰ってもしないかな」と語った。その上で「残念ながら命をなくしてしまい、世の中から、いなくなってしまった2人には、穏やかでいて欲しい。天国というのがあるならば、穏やかでいて欲しい…心配しているだろうから。痛みも苦しみもない世界で穏やかでいて欲しいので、どの裁判でも報告していないんですね。だから、禁錮7年も特に報告しないです」と涙声で語った。

この日で裁判は結審し、判決は9月2日に言い渡される。