将棋の最年少タイトルホルダー、藤井聡太王位(棋聖=19)が豊島将之竜王(叡王=31)の挑戦を受ける、第62期王位戦7番勝負第3局が21、22の両日、有馬温泉(神戸市北区)の中の坊瑞苑(ずいえん)で行われ、先手の藤井が豊島を117手で破り、シリーズの対戦成績を2勝1敗とした。最年少で防衛した棋聖に続き、王位のダブル防衛まであと2勝とした。以下は、「ひふみん」こと加藤一二三・九段(81)の「ひふみんアイ」です。

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まさに快勝譜です。好手が随所に光りました。まずは53手目の先手6六銀。守備に生かしながら、中央進出のチャンスを狙っている「聡太流」の一手でした。それから85手目先手3五歩。緩い手のように見えて、次の先手2五桂と組み合わせて「指し切り(攻めが途切れてしまうこと)」を避け、攻めをつなげました。

一方、豊島さんはなぜ、66手目の封じ手(後手5四銀打)の局面で後手3三桂としなかったでしょうか? 藤井玉が8八に入る余裕を与えてしまった。スピード重視の局面で2手損しています。それと100手目後手8六歩が敗着。ここは先手4三歩成を避けるため、後手3一桂と受けるべきでした。

これで2勝1敗。苦手だった棋士に連勝したことで、戦前は大変だと思っていた藤井さんの防衛の可能性が出てきました。