新型コロナ対策分科会の尾身茂会長は28日の衆院内閣委員会の閉会中審査で、新型コロナウイルスの新規感染者数が初の3000人突破で過去最多3177人となった東京都の医療態勢について「もうすでに医療のひっ迫は現実に起きている」と指摘した。

立憲民主党の柚木道義氏から「在宅で入院できずにお亡くなりになってしまう方が発生する懸念」などについて問われ、「すぐにやらなくてはいけない手術が遅れ、救急外来を断ることが出始めている。コロナ医療だけでなく、一般の医療に支障をきたしている」と危機感をあらわにした。

尾身氏は開会式直前に、「8月上旬にも(東京で1日の)新規感染者数が3000人に迫る可能性」を予測していた。だが、前日27日に過去最多となった2848人を上回るなど予想を上回るペースで急拡大している。

東京五輪用に都内約30の病院が選手や大会関係者に確保されている。柚木氏から「場合によっては人(医療従事者)を現場に戻すといった機動的、柔軟な対応が必要」と問われ、尾身氏は「日本の医療のリソースを全て、うまく活用すること」などとするに留めた。【大上悟】