菅義偉首相(自民党総裁)は3日、再選出馬を目指していた自民党総裁選(17日告示、29日投開票)に出馬しない意向を示した。9月末の任期いっぱいで首相を辞任する。

首相が突然、総裁選不出馬を表明したことで、総裁選の構図がどうなるかが、まず最初の焦点だ。

現在は岸田文雄前政調会長(64)が出馬を表明し、2日には新型コロナ対策に限定した政策を発表。出馬会見では、総裁以外の党役員は「1期1年、3期まで」と表明。5年を超えて幹事長を務め、「権力とカネの集中」ぶりに党内の批判が根強い二階俊博幹事長を念頭に置いたものとみられる。

二階氏については、「3A」の安倍晋三前首相、麻生太郎財務相も交代を求めてきたとされ、岸田氏の党役員任期制については、安倍、麻生両氏への「秋波」ではないかと指摘がある。

安倍氏は党内最大派閥細田派(96人)、麻生氏は麻生派(53人)を率い、「数の力」が鍵を握る総裁選を戦う上で、2人は強い影響力を持っている。

岸田氏以外では、高市早苗前総務相(60)が、出馬に必要な推薦人20人の確保に動いている。

また、昨年、菅首相に敗れた石破茂元幹事長(64)は「白紙」としているが、待望論も強い。

今後、総裁選は岸田氏を軸に進むとみられるが、国民的な人気が高い石破氏の対応が焦点だ。一方で、次期総裁は、新しい総裁に選ばれたとしても、迫る衆院選で自民党への追い風が吹くかどうか、保証はない。