最大震度7を観測した北海道胆振東部地震から6日で3年がたつ。自宅兼店舗が全壊したむかわ町のたい焼き店「いっぷく堂」は今年6月、ようやく新店舗での営業を再開した。

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地震で自宅兼店舗が全壊した、むかわ町のたい焼き店「いっぷく堂」は6月に、仮設店舗での営業を新設店舗に切り替えた。本格的な営業再開から2カ月半。店主の工藤弘さん(68)は「この3年間、バタバタだった。やっと落ち着いた。ほっとしたよ」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

18年9月6日未明。新聞販売も兼ねていた工藤さんは地震の瞬間、配達途中だった。「配達後、車に戻ったら揺れが来た。車のドアノブに手がかけられず、転んだ。この揺れなら、うちはつぶれてるなと覚悟した」。帰宅すると1階が2階部分に押しつぶされ、約20センチほどになっていた。妻と長男は2階にいて、他の販売スタッフも配達に出ていたため、助かった。

19年4月から同町内の仮設店舗で営業再開。仮設店舗の期限が22年2月に迫っていたため、昨秋に引っ越した住居敷地内にある車庫兼物置を改修し、新店舗での営業再開にこぎつけた。町の中央通から町役場前に移転。道路1本挟んで道の駅「四季の館」があり、町外からの観光客も増えた。「忙しくて大変だが、ありがたい。みんなに助けられている」と笑顔で話した。

同町で発掘された化石にちなんだ「むかわ竜(通称)」を模した生地にあん、クリーム、マヨネーズで味付けした鶏肉などを入れた「恐竜たい焼き」が人気。10月には店舗の壁に全長8メートルのむかわ竜のイラストを入れるプランを練っている。「お客さんと触れ合うことで私も元気をもらっている」。感謝の思いで、たい焼きをつくり続ける。【永野高輔】