自民党総裁選(29日投開票)に向けた4候補の公開討論会が18日、都内の日本記者クラブで行われ、河野太郎行革相(58)が集中砲火を受けた。候補者が誰か1人を指名して質問を投げかける方式。1人3回ずつのため、最大9度の可能性の中で半数以上の5度も意見を求められた。

過熱したのは、エネルギー政策に関してだった。脱原発論がトーンダウンしたと指摘されている河野氏に対し、野田聖子幹事長代行(61)が「『脱原発』。河野さんなら原発が止まって、速やかになくなる印象を国民の多くが持ったと思う。最近ちょっと修正されたのかな? 過去の発言を実行してしまうのか?」と、口火を切った。

河野氏は机に手を乗せて、少しだけ前のめりに。「福島で(東京電力の)事故が起きた時、党本部で『言ったとおりに事故になったな』と言われたんですけれど、私はそんなことを言ったことは1度もありません」と強調。「私が言っている脱原発は耐用年数が来たものは速やかに廃炉になる。緩やかに原子力から離脱していくということだ」と反論した。再生可能エネルギーを増やし、足りないところを原子力で補っていく姿勢を説明した。

野田氏は「電力は安定供給が前提。地熱は世界3位ですから自分の国にあるエネルギー」と応酬。高市早苗前総務相(60)も「安定的エネルギーはSMR(小型モジュール原子炉)。高レベル放射性廃棄物を出さない核融合炉も研究、開発すべき」と持論を展開した。岸田文雄前政調会長(64)は「問題は原発再稼働の先。(河野氏が)核燃料サイクルを止められるとお聞きしたが、両立するものか?」と問いかけ、使用済み核燃料の保管問題にも「河野さんが現地に行ってお願いするの?」などと突っ込んだ。

全国の党員や、国民への世論調査では高い支持を絵ながら、ライバル候補から攻め立てられる構図となった河野氏。29日までの総裁選を通じ、党員票をどこまで拡大できるかが課題になりそうだ。【鎌田直秀】

公開討論会では安倍政権、菅政権の評価に4候補が言及した。ワクチン担当として支えた河野氏は「欠けていたのは情報をもとに丁寧に説明すること」。森友学園を巡る財務省決裁文書改ざん問題で自殺した近畿財務局元職員の遺族を念頭に「心の痛みに向き合わなければいけない。お目にかかって話を聞くなどの政治の責任が残っているかもしれない」と述べた。岸田氏は「楽観的な見通し、最悪の事態を想定していないことが国民から後手後手に見えてしまった」。高市氏は「2度と書類の改ざんですとかパワハラを起こさせない改革を徹底的にやっていく」。野田氏は「さまざまな補欠選挙で優秀な自民党候補者の落選した。コロナだけでなく、問題を抱えたまま明らかになっておらず、有権者が疑心暗鬼になっている」と分析した。