菅義偉首相は28日、全国的に新型コロナウイルスの新規感染者が減少していることを受け、19都道府県に発令している緊急事態宣言と、8県に適用中の、まん延防止等重点措置について、30日の期限での全面解除を決定した。緊急事態宣言を解除した都道府県のまん延防止等重点措置への移行も見送って、全国で4月4日以来、約半年ぶりに緊急事態宣言、まん延防止等重点措置から解放される。

政府は、全国的に病床使用率や重症用病床使用率が「50%未満」となり、解除宣言の目安となったことから、解除可能と判断した。菅首相は「認証を受けた飲食店について都道府県の判断で酒類を提供し、営業時間は21時までとすることも可能とします。段階的な緩和を行った上でワクチンの接種証明や検査結果も活用したさらになる措置も検討します。新型コロナとの戦いは新たな段階を迎えます」と強調した。

29日、自民党の新総裁が誕生し、菅首相は任期満了の30日をもって退陣する。これが首相として最後の会見となる可能性がある。だが、これまで国民感覚とは隔たりのある発言を連発し、批判を浴びた経験は生かされなかったようだ。8月25日の会見では感染急拡大の最中で感染収束へ「明かりは、はっきりと見え始めています」と楽観論を唱えた。今回の全面解除によって再拡大も懸念されるが、「数々のご批判もありましたが、今や(ワクチン接種の)効果は明らかであり、明かりは日々、輝きを増していると実感している」と、さらに楽観視している様子だった。

首相会見を重ねる度に、自民党への逆風を強めた張本人と党内からも名指しされた。最後の最後まで「菅劇場」は迷走を続けたまま、幕切れとなりそうだ。