菅義偉首相は28日、全国的に新型コロナウイルスの新規感染者が減少していることを受け、19都道府県に発令している緊急事態宣言と、8県に適用されているまん延防止等重点措置を30日の期限で全面解除を会見で発表した。全国で4月4日以来、約半年ぶりに緊急事態宣言、まん延防止等重点措置から解放される。

きょう29日、自民党の新総裁が誕生し、菅首相は任期満了の30日で退陣する。これが首相として最後の会見となる可能性が高いが、これまでの批判を浴びてきた「菅劇場」から脱することはできなかった。全面解除による感染再拡大も懸念される状況だが、第6波に対する取り組みを問われても、「第6波が来ても今度はワクチンを打ってますから、状況はかなり違うと思う」と言い切った。

感染が急拡大した8月25日の会見では、感染収束へ「明かりは、はっきりと見え始めています」と楽観論を唱え、国民感覚とのズレをあらわにした。それでも「数々のご批判もありましたが、今や効果は明らかであり、明かりは日々、輝きを増していると実感している」と明言した。

前回9日の会見時は疲労感の塊だったが、今回は野党から「卒業旅行」とやゆされた訪米(23日~26日)でバイデン大統領との会談でリフレッシュしたのか、表情は穏やかだった。退陣直前も考慮し、厳しい質問こそなかったが、今後の政治活動については明確な回答を、いつものようにスルーした。

約1時間の会見は、追加質問を求める声が止まらない中で強制終了された。自らの業績の振り返る時は冗舌だったが、肝心な点には答えない。会見を重ねる度に自民党への逆風を強めたと党内からも名指しされた「菅劇場」は、最後の最後まで歯切れが悪いまま、幕切れとなった。