新型コロナ禍で初めての衆院選も終盤。感染者が激減し、市民生活では制限緩和も進んでいるが、選挙戦の現場ではなかなか“制限緩和”とはいかない。

従来の選挙では連日のように集会などを行う光景がみられたが、今回は、屋内集会に慎重な陣営が多い。滋賀県のある新人は一度も開かなかった。31日の開票も、事務所内では限られた関係者と報道陣だけで結果を待つことにし、支援者の立ち会いは遠慮してもらうことにしたという。神奈川県の前議員は1度開いたが、人数を半分以下に制限するなど対策を徹底した。

東京都の前議員の陣営は、公示前に屋内で決起大会を開いたが、「勝つぞ」コールをする際「みなさんは心の中でご唱和ください」と呼び掛けた。支援者はコールに合わせ無言でこぶしを上げた。人数を制限するなど基本的対策を取った上で「大声で飛沫が出るのを避けようという意図」だったという。公示後は屋内では開催していない。

滋賀県の前議員は今月初めの夜、近隣に住宅などがない野外駐車場でドライブインシアター形式の国政報告会を開いた。昨年の米大統領選でも見られた光景だ。約200台が集まり、支持者らは車に乗ったまま、拍手や掛け声の代わりにライトを点灯したり、クラクションを鳴らしたりした。前議員と支持者の接触は出口での見送りくらいだった。

選挙グッズではマイクカバーの注文が増えたとの指摘もある。マイクは複数の話し手が持つだけに、頻繁に消毒しカバーを代える陣営も多い。いかに密を避け、訴えていくか- 難しい選挙戦もあとわずかだ。