第207回臨時国会は21日、16日間の会期を終えて閉幕したが、安倍晋三元首相の在任中に新型コロナウイルス対策として配布し、大量在庫が問題となっている布製マスク「アベノマスク」に大量の不良品があることが明らかになった。

【アベノマスク】岸田文雄首相「アベノマスク」年度内の廃棄指示「経緯にとらわれず迅速に」>

岸田文雄首相は、この日の参院本会議で、「昨年4月から5月に厚生労働省が直接、検品を実施したところ約7100万枚の内、約1100万枚、約15%が不良品だった」と公表した。そして「検品費用が約6億9200万円、その後に納入事業者が実施した検品費用が約10億7000万円。検品に時間を要したことに伴う追加費用が3億3000万円」と、新たに計20億9200万円を要したことを説明した。

立憲民主党の杉尾秀哉氏から「2億9000万枚中8300万枚、115億円相当が使われないまま、保管費用だけでも、これまでに6億円以上を要する状況。世紀の愚策のツケをどのように払うつもりか」と追及され、釈明を追われた岸田首相だが、安倍政権による「負の遺産」は今も膨れあがり続けている。

アベノマスクには当初から髪の毛や異物の混入が報告されるなどの不良品が相次いだ。マスク不足で、ドラッグストアなどにマスクを求める行列が当たり前だった時を経て、現在は不織布などの高機能マスクが市場にあふれている。岸田首相は「介護施設等への随時配布をはじめ、費用対効果の観点から適切な策を検討していきたい」としたが、「アベノマスク」の出番はなさそうだ。保管が長引けば、「品質が劣化する可能性も」と自民党の中堅議員は懸念する。廃棄となれば、処分に伴う追加費用が国民にのしかかることなる。

また国会議員に支給される月100万円の文書通信交通滞在費(文通費)の見直しは、使途公開などを巡って与野党が折り合えず、今国会での法改正は見送りとなった。