将棋の史上最年少4冠、藤井聡太竜王(王位・叡王・棋聖=19)が王将奪取と5冠獲得に好スタートを切った。

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新年早々、大熱戦を堪能させていただきました。藤井竜王は相掛かりで自ら前例のない手を指しましたが、研究してきたのでしょう。中盤の小競り合いで、中央突破を図る渡辺王将の攻めに対し、1筋から歩の連打で攻め返す。中央での局地戦に応じても構わないのですが、盤全体を見渡して戦う大局観がさえました。

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難局でも、戦いが進んでいくうちに自分の玉が安全になるのが「藤井流」。作ったような勝ちになりました。独特の戦い方ですが、絶妙の押し引きでチャンスがあったはずの渡辺王将を下しました。

同じ139手でも一直線に押し切った将棋と違い、二転三転する激戦ともなれば、2~3局も指したような感覚になります。それで勝つのと負けるのでは大違い。1勝以上の、大きな1勝と言えましょう。

2局目は渡辺王将の先手番。どんな作戦を用意するのか、注目です。(加藤一二三九段)