岸田文雄首相が新型コロナウイルスの感染急拡大の「第6波」で正念場を迎える。第208通常国会が17日、召集された。岸田首相は新変異株「オミクロン株」による急速な感染拡大を受け、衆院の施政方針演説では冒頭から対応策に関して約11分、全体の約4分の1の時間を割いたが、目新しい施策はなかった。

医療関係者、高齢者3100万人を対象とする3回目のワクチン接種を「前倒しについて、ペースアップさせる」と述べ、「3月以降は追加確保した1800万人分のワクチンを活用し、高齢者の接種を6カ月間隔で行うとともに、5500万人の一般向け接種も」などとしたが、いずれも公表されたものばかり。現状では、猛威をふるうオミクロン株のスピードに追い付いていない。立憲民主党の泉健太代表は「早急に緊急事態宣言、まん延防止等重点措置の考え方をオミクロンに合わせたものに切り替えをすべきだ」と政府の対応を批判した。

新型コロナ対策に「全身全霊で取り組む」と宣言した岸田首相だが、新たな一手は見えない。19日から各党の代表質問でコロナ対応を巡る論戦に、注目が集まる。【大上悟】