将棋の史上最年少4冠、藤井聡太竜王(王位・叡王・棋聖=19)が渡辺明王将(名人・棋王=37)に挑戦する、第71期ALSOK杯王将戦7番勝負第2局が22、23の両日、大阪府高槻市の温泉旅館「山水館」で行われ、後手の藤井が98手で渡辺を破った。 開幕から2連勝で史上最年少5冠まであと2勝とした。王将戦7番勝負第3局は29日から栃木県大田原市の「ホテル花月」で行われる。

     ◇     ◇     ◇

藤井竜王の圧勝でした。封じ手の時点で少し良いと思いました。

148分も考えた「利かし」の歩が渡辺陣の8筋を壁金にして、負担にさせましたから。2日目に入っても絶対の一着だった封じ手以降も、渡辺王将の攻めをうまく受け、つけ入る隙を与えませんでした。特に相手の飛車を奪って王手をかけてからは、「勝負あった」。本局の指し手は「正確」「明確」「的確」といいことずくめの勝ち筋で、一方的に攻めまくって、押し切りました。

渡辺王将は、王将戦開幕局の掛川対局で過去6戦6勝。7番勝負第2局までは1勝1敗が1回だけで、あと5回は連勝でした。

うれしくないデータを打ち砕いての連勝劇で、王将戦の流れは藤井竜王に大きく傾きました。先週16日の朝日杯名古屋公開対局初黒星の嫌な思いを振り払ったうえ、在籍している順位戦B級1組から名人挑戦権を争うA級への昇級、史上最年少5冠に弾みがつくはずです。(加藤一二三九段)