3月に世界最高齢でのヨットによる単独無寄港太平洋横断に挑む海洋冒険家の堀江謙一さん(83)が24日、西宮市の新西宮ヨットハーバーで、冒険を共にする「サントリーマーメイド3号」を米サンフランシスコに運ぶための引き渡しを実施した。

相棒をトレーラーへ積み込む作業を見届けた堀江さんは「ドキドキしています」と新たな冒険に声を弾ませた。

堀江さんは1962年、小型ヨット「マーメイド号」に乗り、西宮港から米サンフランシスコまで、太平洋の単独無寄港横断に世界で初めて成功した。23歳の大冒険は米国でも称賛され、一躍、時の人にもなった。その記録をまとめた航海記「太平洋ひとりぼっち」はベストセラーになり、故石原裕次郎さん主演で映画化もされた。

「太平洋ひとりぼっち」の航海から60年の節目の年に83歳の大冒険が始まる。現地時間の3月26日にサンフランシスコを出発し、約2カ月半をかけて西宮港まで航海する予定。成功すれば世界最高齢での単独無寄港太平洋横断となる。

人生100年時代。堀江さんは「基本的には僕自身の自己満足でやっている。ただ僕の挑戦する姿によって、70代、80代の各年代の方の夢をかなえるためのお手伝いができればうれしいかなと思っています」と笑顔で話した。

100歳での航海も目標に掲げるが「100歳で心臓が動いているかどうか、分からない(笑い)。100歳は願望であって、いま現在、元気なので、このチャンスをいかしたい」と話した。今回の航海について「一番の目的は僕自身が楽しむことだと思っている」と意気込みを語った。【松浦隆司】