将棋の史上最年少4冠、藤井聡太竜王(王位・叡王・棋聖=19)が渡辺明王将(名人・棋王=37)に連勝した、第71期ALSOK杯王将戦7番勝負第3局が29日午前9時からの2日制で、栃木県大田原市「ホテル花月」で始まった。

先手後手は事前に決まっており、今局は藤井が先手。いつものように、お茶を口に含んでから初手を指した。

28日、両者は現地入りし、対局会場の検分などを行った。「窓から那珂川がきれいに見えて、リラックスして集中して臨めそうだと思いました」(藤井)。「大田原は7回目。慣れ親しんだ場所で毎回、対局に集中できる」(渡辺)。

藤井は昨年11月の挑戦者決定リーグ最終局後に行われた会見で、今回予定されている対局場のうち、第3局の栃木県、第5局の佐賀県、第6局の島根県、第7局の新潟県は訪れたことがないと明らかにしていた。

両者の対戦成績はこれまで藤井の10勝2敗。今シリーズも第1局(1月9、10日、静岡県掛川市「掛川城 二の丸茶室」)は最後の最後までもつれる熱戦の末、優勢だった渡辺に決め手を与えず粘った藤井が逆転勝ちした。第2局(同22、23日、大阪府高槻市「山水館」)も白星で飾り、初の王将獲得と史上最年少5冠まであと2勝としている。

過去の王将戦7番勝負で挑戦者連勝スタートの例は15回。このうち、14回はタイトルを奪取している。藤井は、「特に有利だとは思っていないですし、第3局もこれまでと同じように臨むのがいいのかなと思います」と話した。

対する渡辺は王将戦7番勝負で登場7回目にして、初めて出だしで連敗した。先週の第2局の完敗を引き合いに出し、「引きずらないように。まずかったところは修正できれば」と語っていた。

持ち時間は各8時間。2日間とも昼食休憩は午後0時30分から1時間。午前10時30分と午後3時におやつが出される。

初日は午後6時を過ぎた時点で、手番の対局者が封じ手を行う。