将棋の第80期順位戦A級の最終9回戦が3日午前9時、静岡市「浮月楼」で一斉に行われた。

すでに来期は1クラス下のB級1組への降級が決まっている羽生善治九段(51)は広瀬章人八段(35)に敗れ、2勝7敗でリーグを終えた。勝った広瀬は5勝4敗となった。

角換わりから後手の羽生は積極的に踏み込んだが、しっかり玉を囲った相手陣を攻めあぐねた。最後は、2018年(平30)12月の竜王戦でタイトルを奪われ、91年以来、27年ぶりの無冠に追い込まれた広瀬に屈した。

「ちょっとどうやっていいか分からなかった。細かいところでミスがあったような気がします」と対局を振り返った。今期についても、「やはり細かいところの判断が良くなかった」と反省した。

93年に羽生はB級1組からA級へと昇級すると、1期で名人戦挑戦権を獲得。50歳で名人戦防衛戦を迎えた故米長邦雄永世棋聖を4勝2敗で下し、初の名人を獲得した。名人獲得通算9期も含め、29期連続で在籍してきた、名人戦挑戦者を争うトップのA級から陥落する。

「今期の将棋をしっかり総括しないといけないと思いました」とだけ話し、今後の進退については明らかにしなかった。

A級から陥落した歴代名人のうち、22期連続で在籍した米長や、26期連続で在籍の森内俊之九段(51)は順位戦には参加しないフリークラスの道を選び、名人への道を断念した。

一方、76期にA級から陥落した渡辺明名人(棋王=37)は、77期にB級1組を12戦全勝としてA級に復帰した。それだけではなく、78期は9連勝で名人戦に初挑戦すると、時の豊島将之名人(現九段=31)から奪取。前期は斎藤慎太郎八段(28)の挑戦を4勝1敗で退け、初防衛を果たした。

ほかにも、83年に21歳2カ月の史上最年少名人となった谷川浩司九段(59)や、今期B級2組で8勝2敗としてB級1組昇級を決めた丸山忠久九段(51)のように、A級から陥落しても順位戦で指し続けている現役棋士もいる。加藤一二三・九段(引退=82)は最下級のC級2組に落ちても指し続けた。

タイトル獲得通算99期の羽生がどんな道を選ぶのか、注目される。