米ファストフード大手マクドナルドが8日、ウクライナへの侵攻を続けるロシア国内の全850店舗を一時閉鎖すると発表した。

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ロシアのウクライナ侵攻を受け、アップルやナイキ、ゼネラル・モーターズ、リーバイスなど米大手企業がロシアでのビジネスを一時停止する中、営業を続けていたマクドナルドに対する世間の風当たりは強かった。ネットではマクドナルドのボイコットを呼びかける投稿が相次ぎ、週末にはツイッターでトレンド入りしていた。

マクドナルドは「ウクライナで起きている不必要な人的被害を無視することはできない」とコメント。ロシア国内の6万2000人の従業員には閉鎖中も給料を払い続けるとしている。また、ウクライナ国内でも全108店舗を閉鎖すると同時に従業員には給与を支払い続けることを表明した。

従業員の支援に500万ドル(約5億5000万円)の寄付も行うと英BBCは伝えている。報道によるとロシア国内の店舗の大半がフランチャイズではなく直営だといい、ウクライナは全店舗が直営店であることから、経営への影響も懸念されている。

マクドナルドはソビエト連邦だった1990年にモスクワに初出店し、開店初日には3万人が並んだと伝えられており、共産主義に対する民主主義の台頭を表す強力な象徴となっていた。

現在ロシアとウクライナで展開する店舗数は全体の2%にすぎないが、売り上げは全世界の9%を占めているという。

マクドナルド撤退後もコカ・コーラとペプシはロシアでの販売を続けており、ウクライナの3つのスーパーマーケットチェーンはコカ・コーラ製品を店頭から撤去すると発表するなどボイコット運動が広がっている。

コカ・コーラは、ポーランドなど近隣諸国に避難する難民支援のため100万ドルを赤十字に寄付したことを公表しているが、販売停止には踏み切っていない。(ロサンゼルス=千歳香奈子)