ウクライナのゼレンスキー大統領が28日、首都キーウ(キエフ)郊外ブチャで民間人に対して行われた犯罪の容疑者として10人のロシア軍兵の身元を特定したと明かした。

ソーシャルメディアに投稿された演説で、自国民に対してブチャで犯罪を行ったロシア陸軍第64独立自動車化狙撃旅団の兵士10人が最初の容疑者として特定されたと述べ、「容疑者の性は判明しており、彼らがしたことは立証されている」と語った。

ゼレンスキー大統領は、「容疑者の行動の詳細を把握している。容疑者全員を見つける。ウクライナ人を殺し、拷問した他のすべてのロシアの凶悪犯を見つけるのと同じよう。誰1人として責任を回避することはない」と述べ、裁判で公正な罰を受けることになると語った。

一方、ゼレンスキー大統領によると同部隊はハリコフ地域に再配置されているといい、「何人かは裁判や判決が出るまで生き残れないかもしれない。彼らはそこでわが軍から報復を受けるからです」と述べている。

ゼレンスキー大統領はロシア軍が撤退したブチャで今月上旬に多くの民間人が拷問を受けて殺された痕跡が発見されたことを受け「ジェノサイド(集団殺害)」と呼び、ロシアが戦争犯罪を犯したと非難していた。

ウクライナ国防省もツイッターで、ブチャでの虐殺に関わった10人のロシア兵の身元が特定されたことを明かし、顔写真を公開した。第64独立自動車化狙撃旅団は残虐行為に対してロシア政府から名誉称号を与えられて再び戦場へと戻ったとツイートし、「戦争犯罪者に対する処罰は避けられない」とつづっている。(ロサンゼルス=千歳香奈子)